1.はじめに
(1)大規模修繕工事とは
あらかじめ計画して、建物の主な部位のいくつかを対象として、周期的なかつ全体的に行う工事。(建築基準法上の「大規模の修繕」とは定義が異なる。)
(2)大規模修繕工事の目的
①安全な居住環境の維持
②不具合の解消と予防
③耐久性能の向上
④快適な居住環境の実現
⑤資産価値の保全
(3)大規模修繕工事の種類
①性能を実用上支障のない水準まで戻す補修工事
②竣工当初の性能まで回復させる修繕工事
③竣工当初の性能より向上させる改良工事
④修繕と改良を併せて行う改修工事
(4)大規模修繕工事の対象
専用使用部分を含む共用部分が原則。ただし、配管枝管など一部専有部分を含む場合もある。
(5)大規模修繕工事の項目
①建築分野 塗装・防水・金属・建具・内装その他
②機械設備分野 給水・排水・ガス・空調換気・消火・(給湯)
③電気設備分野 配線配管・受変電制御・照明・避雷・昇降機・情報通信・防災
④外構土木分野 園地工作物・舗装街渠・囲障擁壁・埋設管渠
2.実施手順
(1)3大要素の検討
①組織のデザイン
②時間のデザイン
③資金のデザイン
(2)調査診断の実施
①依頼先の検討
②依頼内容の検討
③診断結果を良く理解する
(3)修繕設計の実施(*設計監理方式の場合)
①設計者の選考
②修繕項目の打ち合わせ
③予算との兼ね合い
(4)資金の計画
(5)合意形成
①説明会や懇談会の開催
②アンケートの実施
③理事会や委員会の審議内容の広報
(6)工事見積もりの依頼
①見積依頼先の選考
②施工者選定方法
(7)工事実施の決議
(8)工事の契約
(9)着工前の工事説明会の開催
(10)日常生活への影響を予想して対策を協議する
①バルコニー関係
洗濯物の物干し エアコン室外機の扱い
バルコニーの鉢植えや物質の移動 BSアンテナの移動
②駐車場関係
駐車車両の移動 ゴミや塗料の飛散
③階段や廊下の通行制限
④設備工事の場合の断水や停電
(11)近隣への着工前挨拶
(12)工事中の定例打ち合わせ
(13)峻工引き渡し
(14)定期検査
(15)関係書類の保存と引継